本学科在校生から受験生の皆さんへのメッセージです。
子どものころから家族旅行でよく目にした歴史的建造物の構造やデザインに関心があり、本学科を志望しました。学ぶにつれて建築工学から建設工学へ、建築物の構造・デザインよりも生活基盤となる社会環境の整備・デザインへの関心が深まりました。
そこで災害社会工学分野の研究室を希望し、防災の視点で災害時に備える方策の研究に進路を決めました。コンクリート構造物などのハード対策ではなく、ソフト面の対策で災害ゼロを目指そうという研究です。
学部の卒業研究は、「災害情報を住民に伝える際のコミュニケーションについて」がテーマでした。人の気持ちに対峙する心理学の要素が必要であり、そこが難しくもあったのですが、さらに探究心が深まりました。
この研究を続けるために大学院に進み、現在は、洪水災害時の避難等に関する情報を、携帯サイトで確認できる仕組みを作成しようと試みています。これまでは行政が配布するハザードマップでしか確認できなかった情報を、個人向けに提供し、かつ住民が容易に得られる仕組みを作ろうとしています。対象地域の地図の製作から氾濫解析、住民アンケートの集計まで、実際に地域住民と関わりながらの作業は得るものが多く、やりがいを感じています。
研究室の教授は、自然災害は避けられないが最小限度にとどめる防災努力は、医療従事者よりも多くの人命救助に貢献できると教えています。研究室は少数精鋭主義のため、先輩後輩のつながりが濃密で、多くを学びあえるのが魅力と言えます。私も研究の実用化を夢に、修士論文の取組みに励みたいと思っています。
(在学時のインタビューより)