研究成果・調査レポートなど
本研究センターで行っている研究内容を紹介します。
特集:ゲリラ豪雨や台風などの風水害被害の軽減に関する研究紹介
 近年、ゲリラ豪雨と呼ばれる局所的集中豪雨によって全国各地で水害が発生しています。例えば、平成21年8月に発生した台風9号の接近に伴う豪雨によって、兵庫県佐用町では増水した河川が氾濫し、避難途中の住民が道路脇の側溝に流され、9名が犠牲となりました(写真:左)。同様に、平成22年7月に西日本を襲った豪雨によって、岐阜県可児市でも増水した河川が氾濫し、河川横を通る道路のアンダーパス(線路や幹線道路などと一般道路が立体交差した場所で下側を通る道路)が冠水し、自動車3台が流され、1名が犠牲、2名が行方不明となりました(写真:中)。
 また、地球温暖化の影響によって台風が巨大化するとの専門家からの報告もあります。平成21年台風8号に襲われた台湾では、3日間で約3,000mmを超える雨量を観測し、小林村では斜面が深層崩壊(大規模な土砂くずれ)し、400人以上が生き埋めとなり、村はほぼ全滅してしまいました(写真:右)。この他にも2006年米国ハリケーン・カトリーナなど、巨大熱帯低気圧が世界各地で発生しています。そのため、今後はこれらの災害による被害を軽減するための対策がますます重要になってきます。
 そこで、本研究センターで取り扱っている風水害被害の軽減に関する研究をとりまとめてみました。研究成果だけでなく、風水害への備えとして、一般の方に知っておいてほしいことについても、わかりやすくまとめみましたので、ぜひご覧下さい。
12名が流された兵庫県佐用町の被災現場(平成21年8月撮影) 3名が被災した岐阜県可児市の被災現場(平成22年8月撮影) 平成21年台風8号によって400人以上が生き埋めとなった台湾 小林村(撮影:成功大學 謝教授)
平成21年台風9号によって河川が増水し、
12名が流された兵庫県佐用町の被災現場
平成22年7月豪雨によってアンダーパスが冠水し、
3名が被災した岐阜県可児市の被災現場
平成21年台風8号によって斜面が深層崩壊し、
400人以上が生き埋めとなった台湾小林村
風水害に備えて、日頃から確認しておいてもらいたいことをまとめてみました。
災害に備えるためには、まず自分が住んでいる地域には、どのような災害の危険性があるのかを把握することが必要です。そのような地域の災害危険性を地図にまとめたものは、『ハザードマップ』です。ハザードマップには、災害の危険性が高い場所のほか、いざというときの避難場所などの情報も記載されています。ハザードマップは市町村が作成することになっていますので、お住まいの地域で公表されているのかどうかを確認し、公表されていた場合には、必ず確認しておきましょう!
災害が発生する可能性が高まった場合には、気象庁や都道府県、市町村から様々な災害情報や避難情報が発表されます。それぞれの情報がどのような状況で発表される情報なのかは、平常時に確認しておきましょう。いざというときになって、いろいろ調べていたのでは間に合わない場合もあります。
警報・注意報
大雨や強風などの気象現象によって災害が起こるおそれのあるときには「注意報」が、重大な災害が起こるおそれのあるときには「警報」が気象庁から発表されます。これらの情報は、一般的にはテレビの字幕などですぐに知ることができる場合が多いです。
土砂災害警戒情報
大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報です。
避難勧告・避難指示
災害発生の危険度が高まった場合に、被災する可能性の高い地域住民に対して避難を促すために、市町村長が発表する情報です。その発表基準は各市町村で定めています。しかし、ゲリラ豪雨のように、雨の降り始めから短時間で災害が発生してしまうような場合には、避難勧告の発表が間に合わない、または発表された情報を知ることができない場合もあります。そのため、避難勧告に依存せずに、危険な状況と察知したら、早めの自主避難を心がけて下さい。
災害が発生する可能性が高まった際に、自らの命を守ることができるのは自分自身だけです。そのため、災害発生危険時には、周辺の様子に注意して、適切な対応行動がとれるように事前に避難方法などを検討しておきましょう。
アンダーパスの走行は控える
先に示した岐阜県可児市の被災のように、アンダーパスを走行しようとして自動車ごど流されてしまう事故は毎年のように発生しています。夜間などの場合、どの程度冠水しているのか判断ができない場合が多いようです。そのため、豪雨の際にはそのような場所の走行は控えましょう。
浸水しているなかをむやみに歩かない
豪雨の際には、下水に流れきらなかった雨水が道路に冠水することがあります。流れがある場合にはもちろんのこと、流れがない場合でも、泥水で地面を確認することができない状況で、浸水しているなかを歩くのはとても危険です。ちょっとした段差に足をとられて、転倒したり、場合によってはマンホールの蓋がとれてしまい、そのなかに引きづり込まれてしまうこともあります。そのため、浸水しているなかを歩くのは控えましょう。避難する際には浸水が始まる前に早めに避難することを心がけて下さい。
土砂災害の予兆現象に注意する
土砂災害は、河川氾濫と異なり、いつどこで発生するのかを事前に予測することが困難な災害です。しかし、前兆現象と呼ばれる土砂災害の前触れ現象を確認することができる場合があります。そのため、豪雨の際には、山間や自宅周辺に斜面がある場合には土砂災害の前兆現象に注意し、異常を確認したら、早めの自主避難を心がけて下さい。
本研究センターでは、風水害による被害の軽減に関する以下のような研究を行っています。

ハザードマップは、地域の災害危険性を広く地域住民に知らせることのできるツールの一つです。ここでは、ハザードマップの公表効果や、ハザードマップを閲覧した住民の理解特性を踏まえた新たなハザードマップの開発、またハザードマップを用いた自主防災活動の促進などを紹介しています。

土砂災害は、その発生を予測することが困難なため、行政からの情報だけで安全に避難することには限界があります。そこで地域住民が地域の災害前兆現象を自分たちで確認し、それをもとに地域住民みんなで自主避難するという地域の避難体制を構築する取り組みを実施しています。ここでは、実際に地域住民が作成した防災マップや避難ルールを紹介しています。

より効果的に災害の軽減を図るためには、行政機関や住民の意識改革だけでなく、災害発生の危険性の特に高い場所に対する対策工事をあらかじめ行っておくことが理想的です。そこで、地すべりをはじめとする各種土砂災害を防止するための対策工の効果を判定するためのコンピュータ・シミュレーション技術を開発しています。ここでは、平成19年に被害した群馬県で適用した事例を紹介します。

災害に備えるためには、地域の災害特性を知ることが必要不可欠です。そこで、わが国の河川の特徴やそれを踏まえて、これまでに行われてきた洪水対策の経緯や洪水対策のしくみについて分かりやすく伝えることを目的にe-learningコンテンツを作成しました。ここではナレーション付きの動画を実際に閲覧することができます。

豪雨災害に河川の流量をコントロールし、氾濫を防ぐための施設としてダムがあります。しかし、その運用方法を誤ると、下流域で大きな被害が生じてしまう可能性があります。そこで、洪水時の適切なダムの運用方法を検討するためのツールを開発しています。ここでは、仮想的な地域を対象に、ダムがある場合とない場合とで下流域の被害がどの程度軽減することができるのかを動画で閲覧することができます。

巨大台風が襲来した場合、沿岸地域には高潮が発生し、大きな被害が生じることが想定されています。三大都市圏をはじめ、沿岸部に多くの都市が集中しているわが国においては、高潮災害への備えは必要不可欠です。そこで、高潮襲来時の効果的な避難誘導策を検討することを目的として、『動く高潮ハザードマップ』を開発しています。ここでは桑名市、木曽岬町を対象に開発したものを動画で閲覧することができます。
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